――なに、これ!?
 サーリアに続いて"翠玉庭園"の中心、円形広場に飛びこんだフィアは、絶句した。
「ラスティ! ……それにアルテさん!?」
 ちょうどアルテが白刃で空を斬り、放った剣風でラスティの背後から異形の影を吹き飛
ばした――、その瞬間だった。ラスティが座っているベンチはフィアの正面、アルテがい
るのは右手、別ルートで広場へ通じていた道の出口。
「アルテ、どーゆうことっ? あなた、またわたしになにもいわないで……!!」
 フィアに並んだステファが、らしくなく苛立った声で呼びかける。フィアの視界の中で、
ラスティがぎくしゃくとベンチから腰を浮かせ、前のめりによろけたアルテに駈け寄ろう
とする。誰の目にも彼女が負傷しているのは明らかだ。……なにがあった!?
「――いけませんっ!」
 アルテに鋭く制され、ラスティは芝生の上でたたらを踏む。
「狙われているのは、あなたですよ。ここから離れなさい、早く!」
 でも、とラスティの小さな唇が動いた。
 だがアルテは、再び彼女を怒鳴りつけ、閉じたままの両眼をステファへ向ける。
「お願いしますわ、所長! 彼女を……っ」
「う、うんっ。ラスティ、こっちよ! もうっアルテ、あとでお説教だからね!」
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