『寝た子を起こすな』という言葉がある。
ここでいう〃子〃とは〃面倒ごと〃の譬えで、この諺は、ようやく収まったトラブルの
種をわざわざほじくり返すな、という警句である。――ならば、『寝た天使』の場合はど
うだろうか。
しかもそれが、ボケボケ天使だった場合は。
「はにゅ〜……、すぴょぴょぴょぴょ……」
はにゅ〜、とかいってるし。すぴょぴょ、とかいってるし。
ソファーで寝ている天使ステファ。それを囲んで立ち、一様にフクザツな顔をしている
のはアルテ、フィア、サーリアの探偵三名だ。ケーニスは反対側のソファーの足もとで頭
を打って気絶していた。
午後十時。ずっと居眠りして役立たずな所長ステファだったが、彼女はサーリアの深層
意識にあらわれ『屋敷のどこかに眠っているロザリーの遺体を見つけなさい』と告げたら
しい。そうすれば、すべてが終わる、と。
「どーしよっか」
と眉をよせてフィアがいい、
「どうしましょうね」
さらりとアルテが受け流し、
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