五十年の間、凍てついていた時間が、闇の中にあった。

「わあ、どーして?」
 重々しく開いていく鉄扉に、両手を拳にしアゴに押しあて目を丸くしたステファが、わ
かりやすく驚いてみせる。押し開けているサーリア――に宿ったロザリーと、ステファの
背後に控えるアルテやフィア、ケーニスは何のことか首をかしげた。
「さっきは全然ダメだったのに、あっさり開いてるよ〜……」
『〃さっき〃は、まだ、そのときじゃなかったから、でしょ』
 説明になっていない説明を口にし、ロザリーは、当然! といわんばかりの顔。
 すべては運命の力のなせる所行だと、彼女は決めつけていた。
 噴水の女神像の封印が解け、再びサーリアの中で覚醒したロザリーに連れられ、一同は
屋敷の地下に隠された地下室へと着いた。ステファが偶然発見した……、そしてハミルの
遺品の見取り図にも記されていた一室だ。
「そんなの納得できないもの! そんな、オカルトちっくな現象ーっっ!」
 先ほど開こうと孤軍奮闘した自分がバカにされたとでも思ったのか、ステファは腕をふ
りあげ駄々っこみたいに抗議する。残る探偵ふたり、アルテとフィアは肩を落として声な
く揃って『天使がいうな』とツッコんだ。
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