けれど、ステファはその笑顔に、より大きな恐怖を感じたらしく、ぶるっと背筋を震わ
せた。
「……それにしても、お腹空いたですぅ……」
 手の中でもじもじと造花をいじりながら、サーリアが呟く。その声に合わせて、きゅる
るる、と腹の虫が鳴く。ちっ、と舌打ちしてフィアがサーリアを睨んだ。あまりにも「腹
減った腹減った」とうるさいので、つい先ほど「もう〃腹減った〃禁止!」と、いいつけ
たばかりなのだ。
 けれど、怒りでエネルギーを放出するのも、もったいない。
 ぐっ、と怒りをこらえるフィアに気づかず、サーリアは言葉を続ける。
「ラスティちゃんは、まだですかぁ……?」
「こら。あんまりアテにしないでっていってたでしょ、ラスティ。あの子ンちのパン屋さ
ん、評判良くて余りなんてめったに出ないって話じゃない」ケンカ腰な口調でいいながら
も、フィアだって期待はしているのだ。本当は。

 ――あの、おうちでパンが余ってたら、差しいれに持ってきますね。

 そういって、自宅へ戻っていったランクレー探偵事務所の新入り、見習い探偵ラスティ。
段ボール箱を囲むステファたちは、造花作りを進めながら、みな彼女の物資調達を待ち望
んでいる。
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