ラスティは、いい終えることができなかった。
 その言葉尻をぶった切って、

「殺(シャ)―――――――――――――――――――――――――――――!!!!」

 まるきり、猫がケンカ相手を威嚇するときにだすような、奇声。
 それを〃覆面の者〃が上げたのだ。いきなり。まさしく不意打ちのタイミングで。
「…………(びっくり)」
 ラスティはちっちゃな唇を〃a音〃を発するかたちのまま凍りつかせた。
 びっくりして。
 びっくりしたラスティは、びっくりした拍子に、失語症にかかったみたいになった。
 目を丸くした〃びっくり〃顔のままで、びっくり中のラスティは、

(………………びっくりした)

 と、思った。

 ……しつこかっただろうか、申しわけない。

 
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