――――まどろみから、無理やり叩き起こされた。

 なにの力が働いたせいなのかは、わからない。とにかく目覚めたサーリアは、自分が今
どこにいるのか把握するのに時間がかかり、把握したあとでも奇妙な違和感を覚えずには
いられなかった。
 頭がくらくらしていた。自分がいるのは探偵事務所の屋敷の一階、居間の一室だ。
 壁の模様も、部屋の中央にある足の低いテーブルも、それを挟む一組のソファーも、扉
から向かって左手の壁にある暖炉も、すべて見覚えのあるものばかりだ。それでもサーリ
アは首をかしげてしまう。
 なにか変だ、と、そうとしかいえない違和感。
 居間にはサーリアひとりきりだった。
「……なんで、サーリアだけですぅ……? フィアちゃんは……」
 窓辺にはたっぷりとした厚い生地のカーテンが下りていて、外の様子は窺えない。夢の
中で夢をみているような曖昧な感覚で、事務所でなにが起きているのかは、おぼろげに理
解していた。けれど。
 この状況は、あまり謎だ。
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