「……あ、くぅっ…………」
 フィアの腕の中で、ロザリーの――、サーリアの体が崩れ落ちた。
 咄嗟のことだったため、フィアはロザリーの体を受けとめきれず一緒に倒れて床にひざ
を付いた。同時に、放出されていた霊気の波もやみ、宙を舞っていた調度品やら額縁やら
が、がたがたと落下する。額縁の直撃を受けて、ケーニスが目を回した。
「ロザリーっ、ロザリーっ!!」
 耳元で呼び続けるフィアにアルテが歩みより、肩にそっと手を置いた。
「フィアさん、まずあなたのケガの手当をしましょう。ずいぶん、体のあちこちを斬られ
たのではないですか?」
「そんなの、たいしたことないってば! こらっ、目ェ覚ませ!」
 アルテの手をふり切って、フィアはロザリーの体をゆする。
「ロザリ――――っ!!」
「…………う……っ」
 大声でわめいたせいか、ロザリーが低くうめいた。敏感にそれを察知したフィアは、彼
女が目覚めるかと、わずかに身を離し、じっと幼げな顔立ちを観察する。ややあって、細
く細くたれがちな眼が開いた。
「…………うるさいですぅ、フィアちゃん」
13
presented by KURONEKO-SAN TEAM
©KOGADO STUDIO,INC.