ぷぅ、と溜めていた息を吐いて、サーリアがベッドに転がった。
「わ、あんた酒くさいよー?」
「それはフィアちゃんも、どっこいですぅ〜……」
寝巻きにも着替えず、サーリアはごろごろシーツを転がって、いつもの自分の所定の位
置におさまる。さも重たそうに頭を持ちあげ、よっこいしょ、と枕に頭をのせた。頬を朱
に染めて、とろーんとした酔眼をしている。
やれやれ、と腰に手をあてたフィアは枕元の目覚まし時計を確認した。
なんだかんだで大宴会は朝方まで続き、なんだかんだで飲みすぎたサーリアを担ぐよう
にして、共同住宅(アパート)のふたりの部屋まで戻ってきた。窓にかかったカーテンの
隙間から、朝焼けの光がわずかに差しこんでいる。
「こら、寝巻きに着替えなさいってば。シワになるよっ?」
「ふにゃあ……、別にいーで……うにゅ〜……」
「だめだ、こりゃ。仕方ないなー、もう」
フィアはがりがりと頭をかき、台所に歩いて魔力で働く冷蔵庫からトマトジュースをと
りだす。二日酔い対策も兼ねて、ぐびぐびワンパック飲みほし、ふう、と息をついた。腰
をひねってベッドのほうを眺めると、サーリアはまるで死体みたいにぐったりとして、動
かない。
|