「なんだかなー、普段はそんなに飲まないのに」
苦笑して呟き、ふとフィアは気づく。サーリアの手が、よろよろとシーツの上を這うよ
うにまさぐっているのを。どうやら、そばにフィアがいるか確認しているらしい。いない、
とわかったのかサーリアはやがて、ひくっひくっと肩を震わせ、
「ふぃあ゛ちゃあ゛ん……」
と、がさがさに掠れた、バカみたいな声でフィアの名を呼んだ。フィアは、がっくりと
肩を落とし、トマトジュースのパックをぐしゃりと潰してゴミ箱に放りこんだ。のてのて
とベッドに歩みよって、フィアの所定の側にころんと転がる。
マットの沈みでフィアが来てくれたことに気づいたのか、サーリアは、
「ふぃあちゃん……、さーりあ、ふぃあちゃんのことがすきなんですぅ……」
うわ、直球できたな! という感じである。
フィアは天井を見つめたまま、言葉を探す。
「……あー、あのね、サーリ……」
「ひとりのひととして、ほんとにすきなんですぅ、いつもいつも、ぎゅって……」
フィアは、ぱちくりと瞬き。
「サーリ、ア?」
「ちょーらぶらぶになりたぃんですぅ、ろざりーちゃんたちにも、まけない……」
寝言だった。
なぁーんだ、と緊張したせいかフィアは拍子抜けする。心に余裕ができる。
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