ところで、「寝ながらオナ○」と「寝ながらオナ○ー」では、どちらがより恥ずかしいの
であろうか。それに関する考察は、適切な時期を待ちたい。ともかくフィアは、サーリア
の言葉責めによって、大打撃を与えられた。
 ちゃんす! とサーリアは、呆然と立ちつくすフィアを楽々と抜きさり、一階へと下り
る階段を目指した。『伝説のパン』はいただきですぅ♪ なんて喜々とした捨て台詞まで残
して。大方の予想に反し、サーリアの勝利か? と思われたそのとき――、
 フィアは肩をふるわせ、サーリアに顔を向けることもなく、
 ごごごごご、と大気をゆるがし、
「い、いってくれるじゃない、サーリア。なによ、あんたなんか……」×10
 怒りパワーで分身を復活させ、いってはいけない禁断の攻撃呪文を唱えた。

「あんたなんか、こないだ、あたしのお風呂を覗いてたくせに――――っ!!」×100

 大増量した百体のフィアに怒鳴りつけられ、どんがらがっしゃーっん!! と階段から、
それはそれは激しい墜落音が聞こえた。続けて、静寂。すこしの間、フィアはサーリアの
気配を探るように沈黙し、立ち上がってくる様子のないことを確認して、やがてそっと吐
息をついた。
 階段に背を向けたまま、憂いめいたつぶやきをこぼす。

「……儚いものだね、戦いって……」
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